新事業進出補助金の変更申請|承認が要る変更と不要な変更

新事業進出補助金の変更申請|承認が要る変更と不要な変更 経営コラム

新事業進出補助金で交付決定後に計画を変えるとき、変更の中身によって、事前に「補助事業計画変更(等)承認申請」で承認を受けなければならないものと、承認申請が不要なものがあり、事後の申請は補助対象になりません。線引きは交付規程第12条にあり、たとえば経費区分ごとの配分額は「各配分額の10パーセント以内」の流用増減なら承認申請は不要、交付申請時に取得するとしていた単価50万円(税抜)以上の物品・役務等を変える場合は事前承認が必要です。

本記事は、交付規程(令和8年6月15日改正版)、補助事業の手引き(第1.8版、2026年8月17日付)、公募要領(第2回、1.1版・令和7年11月)で確認した内容です。交付規程は回を分けずに定められ、本記事で扱う計画変更・期間延長・相見積の手続きについて、手引きは回ごとの違いを示していません。公募要領の記載は第2回のものなので、他の回の採択者は、ご自身の回の公募要領もご確認ください。

前提:変更は「やむを得ない場合」に限られる

手引きは、計画変更承認申請を「補助事業実施の必要上、やむを得ず補助事業計画の変更が生じる場合」の手続きとしています。事業の主旨・目的、事業計画、成果目標等の変更は原則認められず、申請しても承認されるとは限りません(手引き3-3-1、PDF p.34)。

  • 交付決定前に、採択された事業計画を変更することは、いかなる理由でも認められません(手引きPDF p.5)。
  • 交付決定時点の補助金申請額を上回る変更は認められません(手引きPDF p.34)。

承認が必要な変更と、不要な変更

交付規程第12条第1項(PDF p.4)の内容を表にします。

変更の内容事前の承認様式
経費区分ごとの配分額を変える(各配分額の10パーセントを超える流用増減)必要(第1号)第3-1
同上(各配分額の10パーセント以内の流用増減)承認申請は不要。実績報告時に証憑を示す―
交付申請時に取得するとしていた物品・役務等(単価50万円(税抜)以上のもの)を変える必要(第2号)第3-1
補助事業の内容を変える必要(第3号)。下記の軽微な変更は除く第3-1
補助事業の実施場所を変える承認申請の対象(第5号)だが、交付決定後の実施場所の変更は原則として認められない(手引きPDF p.10、公募要領(第2回)PDF p.38)第3-1
法的整理の手続きを行う必要(第7号)第3-1
補助事業を中止・廃止する必要(第4号)。事後承認はできない。廃止が承認されると交付決定取消しになる(手引き3-3-6、PDF p.44)第3-2
補助事業を他に承継させる(個人事業主の法人化を含む)必要(第6号)。承認されるとは限らない(手引き3-3-2、PDF p.36)第3-3

承認がいらない「軽微な変更」

補助事業の内容の変更でも、次のどちらかに当たる軽微な変更は除かれます(第12条第1項第3号ア・イ)。

  • 補助目的に変更をもたらすものではなく、かつ、補助事業者の自由な創意により、より能率的な補助目的達成に資するものと考えられる場合
  • 補助目的および事業能率に関係がない、事業計画の細部の変更である場合

具体例は今回確認した資料に書かれていません。迷うときは、変更の前に事務局へ相談してください(手引き1-2は「事務局への早期の相談」を留意点に挙げています)。

「10パーセント」と「50万円」の注意点

  • 単価50万円(税抜)以上の物品・役務等を変え、減額により補助対象から外れる場合も、計画変更の申請が必要です(手引きPDF p.34)。
  • 10パーセントの基準額は、交付規程本文が「補助対象経費の区分ごとに配分された額」、様式第3-1が「補助金交付申請額の経費区分ごとに配分された額」と、表現が異なります。境界に近い流用は、事務局に確認してから進めてください。

代表者・本社所在地・社名などの補助事業者情報の変更は、原則として承認申請ではなく「社名等変更届出」の手続きです(交付規程第29条、手引き3-2-2)。ただし、個人事業主の法人成りは「承継」に当たり、交付規程第12条第1項第6号・様式第3-3による事前の承認申請が必要です(手引き3-3-2、PDF p.36)。また、本社所在地が補助事業の実施場所を兼ねる場合の移転は、実施場所の変更として原則認められません(手引きPDF p.10)。どちらに当たるか迷うときは、変更の前に事務局へ相談してください。

変更を申請するタイミングと必要書類

タイミングは「事前」です。第12条は「あらかじめ」承認を受けるよう定め、手引きは「承認が得られていない経費や事後申請については、補助対象経費の対象外」としています(PDF p.34)。補助対象になるのは補助金交付決定日(または補助事業計画変更承認日)以降に契約(発注)した経費で、それより前の発注は対象外です(手引きPDF p.10)。

  1. 変更内容が第12条第1項のどれに当たるか確認する(迷えば事務局に相談)。
  2. 電子申請システムのマイページ「補助事業計画変更(等)承認申請」から、様式第3-1を申請する。変更内容の詳細、理由、補助事業への影響、変更後の経費と算出基礎を書き、配分額を変える場合は新旧対比表を付ける。
  3. 承認を受けてから、変更後の内容で契約(発注)する。
  4. 実績報告では、承認された内容に沿って実施結果を示す(第18条第1項)。

添付書類は、手引き(PDF p.35)に次の一覧があります。承認の際、中小機構は交付決定の内容を変更したり条件を付けたりすることがあります(第12条第2項)。

書類提出する場合
経費明細表、見積依頼書、見積書共通
価格の妥当性を証明するパンフレットや見積提案書・仕様書等機械装置・システム構築費を計上している場合
設計図書(設計図、仕様書等)、配置図面(改修は平面図・配置図等)建物費を計上している場合
相見積書、価格の妥当性を証明する証憑広告宣伝・販売促進費を計上している場合
計画変更(等)承認申請の確認書連携体事業者、リース共同申請事業者の場合

補助事業期間の延長:原則できず、例外は事故等報告

補助事業実施期間の延長は原則認められません。期間は交付決定日から14か月以内で、採択発表日から16か月後の日を超えられません(交付規程第5条第1項)。「事情があれば申請で延ばせる」という理解は、現行の資料と合いません。

例外として、公募要領(第2回)は「天災など補助事業者の責任によらない事由」の場合に延長が認められる場合があるとしています(PDF p.37)。手続きは事故等報告です。

  • 第15条:自己の責任によらない理由で期間内に完了できないと見込まれる場合は、速やかに様式第4の事故等報告書を提出し、指示を受ける。
  • 第5条第2項:中小機構から指示を受けた場合に限り、その指示を受けた期間までを補助事業実施期間とすることができる。
  • 手引き3-3-5(PDF p.42):補助事業完了期限日までに承認を得る必要がある。責任によらない事由と認められなければ承認されず、その場合は補助事業完了期限までに実績報告を提出する必要がある。

手引きは、認められないケースとして、価格高騰、取引先や関係者とのトラブル、融資などの資金繰り、着手後に判明した不具合、取引先の従業員(技術者等)不足等に起因するものを挙げています。提出書類は事故等報告書と、第三者が発行する遅延の状況を証明できる資料(公的機関の通知書、メーカーの公表文、発注元の遅延理由書など)です(PDF p.43)。

相見積:金額基準と例外

交付規程第13条第1項(PDF p.4)は、見積りを取得して最低価格を提示した者を選ぶこと、見積額の合計が50万円(税抜)以上の物件等は同一条件の相見積もりを取ることを原則としています。手引き(PDF p.27)は件数まで示しています。

契約(発注)先の見積額の合計取得する見積書
50万円(税抜)以上全ての費目で、同一仕様による3者以上
50万円(税抜)未満1者以上(広告宣伝・販売促進費は2者以上)
  • 例外:相見積もりを取得できない場合や、最低価格の者を選ばない場合は、選定理由を明らかにした理由書と、価格の妥当性を示す書類を備えます(第13条第1項)。手引きは、知的財産権や独占販売権等で販売元が限られるなどの合理的な理由があるときは、事務局へ連絡するよう求めています。
  • 見積額が市場価格とかい離している場合は、必要な見積書として認められません(手引きPDF p.27)。
  • 金融機関確認書を発行した金融機関や、事業計画書作成支援者への発注・見積もりは認められません(公募要領(第2回)PDF p.37)。

金額の数え方は、交付規程が「契約先又は発注先1件あたり」、手引きが「契約(発注)先1者当たり」と、表現が異なります。発注先を変える場面では、事務局に確認すると安全です。

建物費など、特に注意が必要な経費

建物費は、手引き5-2(PDF p.89~90)に特記事項が多い経費です。

  • 「機械装置・システム構築費」または「建物費」のいずれかは、補助対象経費に必ず含まれていなければなりません。
  • 入札・相見積りが必要です。建設業許可が必要な規模の建物は、許可を有する業者の見積りが必要です。
  • 建物の撤去費のみ、または付随する構築物の建設費のみで、建物費を計上することは認められません。
  • 整備した施設等への根抵当権の設定は認められません。
  • 期限日までに工事が完了しない事情が判明したら、速やかに事務局へ連絡します。

承認なしに変更した場合の扱い

承認を受けずに変えた経費や、事後に申請した経費は、補助対象経費の対象外です(手引きPDF p.34)。交付規程には次の定めもあります。

  • 第18条第1項:額の確定で、実施結果が交付決定の内容(承認した場合は承認された内容)と条件に適合しないときは、その物件等に係る金額は補助の対象になりません。
  • 第22条第1項第1号:規程や中小機構の処分・指示に違反した場合、交付決定の全部または一部を取り消し、または変更することができます。
  • 第22条第2項・第3項:取消しに係る補助金が交付済みなら返還を命じ、原則として加算金(年利10.95パーセント)の納付も命じるとされています。

個別の取扱いは事務局・中小機構の判断によります。変更が必要になった時点で、発注の前に相談・申請するのが、現行の資料に沿った進め方です。交付決定後の全体の流れは新事業進出補助金の採択後の流れに、書類準備でお困りの場合は補助金申請支援のページにまとめています。

よくある質問

配分額を少しだけ他の費目へ移す場合も、承認申請が必要ですか?

各配分額の10パーセント以内の流用増減なら、承認申請は不要です(第12条第1項第1号ただし書)。実績報告時に証憑を示します。超える場合や、単価50万円(税抜)以上の物品の変更を伴う場合は、事前の承認が必要です。

変更後の発注先の見積書が1者分しか取れません。

見積額の合計が50万円(税抜)以上なら、同一仕様の3者以上が手引きの基準です。販売元が限られるなどの合理的な理由で取得できない場合は事務局に連絡し、交付規程第13条の理由書と価格の妥当性を示す書類を備えます。

資材の価格高騰で工事が遅れそうです。期間を延ばせますか?

手引きは、価格高騰に起因するものを事故等報告が認められないケースに挙げています。延長が認められ得るのは、天災など補助事業者の責任によらない事由の場合です。責任によらない事由と認められない場合は、補助事業完了期限までに実績報告を提出する必要があります。間に合わないと判明した時点で、速やかに事務局へ連絡してください。

代表者や本社所在地が変わりました。計画変更の承認申請になりますか?

補助事業者情報の変更は、原則「社名等変更届出」です(交付規程第29条)。手引きは、事前に事務局と協議し、変更後ただちに提出するよう求めています。ただし、個人事業主の法人成りや事業譲渡は「承継」に当たり、交付規程第12条第1項第6号・様式第3-3による事前の承認申請が必要です(手引き3-3-2、PDF p.36)。また、本社所在地が補助事業の実施場所を兼ねる場合の移転は実施場所の変更に当たり、原則として認められません(手引きPDF p.10)。どちらに当たるか迷うときは、変更の前に事務局へ相談してください。

確認した一次資料

最終確認日: 2026年11月4日

本記事は公的機関の一次資料を確認した範囲で書いています。確認日以降に資料が改定されている可能性があります。個別の申請可否は、事務局や専門家にご確認ください。

計算の考え方と出典の扱いについては「数字の扱い方」をご覧ください。